平成14年度
先日、明星大学の高橋史朗教授の「親業のすすめ」という講演があった。有益な話を聞けたが、なかで最も新鮮だったのは、デンマークでは暗くなる時間には保育園に誰もいなくて、その時間は家庭で団欒の時間を過ごすという話だった。なるほど、デンマークのような福祉政策のあり方があるのだと改めて思った。一昔前迄は、日本の保育園でも夕方五時頃には、残っている子は、ほとんどいなかった。今より貧しくはあったが、大概の家庭は、ちゃぶ台を囲んで家族揃って夕食をしていたものだった。▼だが、近年、子育て支援ということで、延長保育や休日保育がますます促進されている。勿論、その制度が必要なお母さん方もいるのだが、逆に制度を作ることにより、延長保育や休日保育の需要を促進することにもなっている。つまり、女性の社会進出とか雇用が促進されるといえば聞こえは良いが、お母さん達は、夜遅くまで、あるいは日曜日まで労働に駆り出されることになる。そして、これらの制度は児童福祉の名の下にあるのだが、果たして子供達にとって最善の利益になっているのだろうかという疑問もある。また、国は少子化対策と称して、色々な施策を打っているが、年を追って少子化は進んでいる。ということは、目的に対して効果のない政策に貴重な税金が費やされているのではないか。▼ノルウェーでは1998年から「家庭育児手当」が導入されて、家庭で乳幼児を育てる親に国庫補助金を支給するという。フェミニズム先進国であるノルウェーでは、離婚の高まりや家庭崩壊に対する反省から、家庭育児の大切さが再認識されているのである。フランスでも家庭への回帰が政策として取られて以来、少子化が止まったそうだし、アメリカでは高収入を得ていたキャリア女性が、その収入を捨てて家庭へ戻っているともいう。▼スウェーデンの高福祉が喧伝されるが、少年犯罪の発生率はアメリカの20倍にもなるそうだ。家族は社会の基礎である。暖かい「家族のふれあい」がなくなれば、子供の心の荒廃を生む。その子供達は、また同じように子供を育てるであろうから、社会はますます荒廃することになる。少々、貧しくとも家庭で子育てに手間暇かけようという人がいても良いし、国がそれに対して援助を与えるという考え方も、とても人間らしい楽しい福祉だと思うのだが。
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